【まちの人インタビュー】かわまた暮らし 音楽のある町 DJ編

2025.03.31 更新 カテゴリ:BLOG

<かわまた暮らし 音楽のある町>

川俣町は作曲家古関裕而さんのゆかりの地でもあり、40年以上にわたりコスキン・エン・ハポンが開催されています。また、和太鼓を後世に伝える活動も活発に行われ、ジャズ関連のイベントも盛んな多種多様な音楽に溢れる町です。 そんな町で町民の方はどのように音楽を楽しみながら暮らしているのか。生の声を聴いてみるべくインタビューを行いました。

 

●インタビュー 株式会社smile farm 根本 文也さん

DJ MOVE(左)と根本 文也さん(右)

 

音楽がどのように生活に入ってきたのか

―― 根本さんが音楽をはじめたきっかけはどのような事だったのでしょうか?

根本文也さん(以下、根本):僕の仲良しの中学時代の友人の家が居酒屋なんですが、その友人はそうした環境で育っていたので、音楽好きだったんですよね。僕が色々と音楽に興味を持つようになったのは、その友人の影響ですね。

根本さんに影響を与えた友人たち

 

元々音楽は好きだったんですが、最初は音楽の話をしていて、そのうち友人達と過ごす時間のBGMの選曲を勝手に担当するようになったんです。その後、その友人が今にしてみれば、おもちゃのようなものでしたがDJができるシステムを買ったんですよね。それを使って練習みたいなことをしていました。

僕に影響を及ぼした友人はギターを弾くようになり、同じく中学の同級生などと演奏活動をするようになっていきました。僕は、そうした道には進まず、聴く事やDJの練習をすることがメインでした。

それが、約4年前にイベントに出演する機会をいただき、他の演者の方からも「良かったよ」と声を掛けて貰えて、ますますのめり込むようになり、ストレス発散の時間にもなっていきました。

そして2年前頃から、友人の家の居酒屋さんの隣のイベントスペースで、自分達のイベントを開催するようになりました。通算で第11回を数えていますが、交通条件など厳しいながら徐々にお客さんが付いてくれるようになってきました。

 

―― 音楽をはじめ、「文化的なことは大都市」でという人が多いですが、根本さんはなぜ地元で?

根本:音楽はあくまで趣味なので、音楽のために都会に出るということは考えませんでしたね。地元で良いのは、関係する人との距離が近いことです。これは音楽だけではないと思いますが。

地元といっても、●●市とか■■町という範囲ではなく、僕の場合は福島県内、興味ある人がいたらどこでも行きますが、有名な人気DJの人もすぐに会ってお話してくれますし、今回のイベントもそうですが、イベントに出て貰いたい人は誘いに応じてくれます。また、自分自身もお誘いがあればどこへでも行こうという気持ちがあります。

今回のイベント「いちご音楽祭」は、もともとDJ Manamiさんは知り合いだったのですが、DJ atumiさんはそのManamiさんの紹介で出演下さいました。ご自身がイチゴをモチーフにしたグッズの制作・販売をされていると聞いた時は相性の良さにびっくりしましたが、二つ返事で出演を承諾してくれたのはとても嬉しかったです。しかも、白河市から来てくれてますからね。

関係者の距離が違いというのは、刺激を与え合えることや、イベントを盛り上げることにつながります。お互いの関係でそうしたことができるのは、「地元」ならではだと思いますね。それも昔から付き合いがあるとかでなく、初対面でも仲良くなれるというのは、移住者の皆さんにとっても新しい事へのチャレンジの後押しとなるのではないでしょうか。

生業(なりわい)としての農業

―― 今回のインタビューのきっかけは、DJが仕事になる喜びを根本さんに伺ったことでした。その「仕事になる」というのは根本さんの職場である観光農園でのイベント開催を社長が提案してくださったことだとおっしゃっていました。根本さんの職場はどんな農園なのですか?

根本:はい、僕が働く職場の観光農園smile farmは、社長が立ちあげた農業法人で、最初は観葉植物のアンスリウムの栽培がメインでした。このアンスリウムも、元々輸入がメインだった市場で、国内の「川俣産」のシェアを伸ばしていることもすごいのですが、新たにイチゴの栽培、苗の生産も担うようになって、職場も大きく変化しました。

――観光農園は、生産する農業ということでもありますが、サービス業でもありますね。根本さんが趣味で活動するDJや音楽イベントもサービス業で、何か農業とDJには共通点はありますか?

根本:そうですね、業種としては共通するところがあるかもしれませんが、僕は音楽はサービス業とは捉えてはいないです、本当はそうなのかもしれませんが(笑)。

今は音楽に関して自分の技術を磨く段階でもあり、一方で自分が好きな音楽を多くの人に知って貰いたい。お客さんには楽しんで貰いたいですが、サービスする、というよりかは、まず僕が好きなことを受け止めてくれるか、いわば勝負しているような感じですかね。

でも、自分の技術を磨き良いプレイをする、あるいは良い作物を作るためにコツコツと努力を積み重ねる、まあそういう職人的なところは、農業とDJには共通点もあるように思います。

 

――観光農園の集客実績も県下ナンバーワンの呼び声も高いとか。ふつういちご狩りって、種類は決められているところ、simle farmは種類が多いのが人気の秘密と聞いたことがありますが、そうなのでしょうか?

根本:うーん、どうだろう?今、いちご狩りは複数の農園が集まって活動しているのですが、他の農園でも種類数は多いです。レビューなどを見ると、smile farmはサービスが良いという評価をいただいておりお、それが人気になっているように感じます。

でも、それは自分ではなく、スタッフの渡辺さんや谷口社長の接客のお陰かな(笑)。自分も前の職やアルバイトで、営業とか接客経験はあるのですが、ちょっと苦手意識ありますね。DJでもお客さんと会話を楽しむ人もいるのですが、僕は黙々と職人のように音楽を掛けたり、作物の栽培に力を入れる方が向いている気がします。でも、ここには1日100名の人が来る日も少なくなく、僕も接客は頑張ろうと思いますよ。

スタッフの渡辺さん

音楽×農業で実現したいこと

――単刀直入にお伺いして、根本さんが音楽と農業の組み合わせで実現したいことは?

根本:そうですね。いちご狩りに来る人と、音楽を聴きに来る人、目的は違うと思いますが、その方々がもう一方の事を知る機会を提供できると良いと思っています。

僕自身、色々な音楽に接する機会があって多くの感動に出会いました。いちごを食べに来た人に、僕が掛ける音楽が気に入ってその先の世界に踏み込んで貰えると嬉しいですし、音楽を聴きに来た人にいちごには色々な種類があり、それぞれ味が違うことを知って貰うような機会が提供できると嬉しいですね。両方をやっている僕だからできることとも思います。

今日も関係者の家族以外にも小さなお子さんが来てくれていました。そうした子供達が自分達が普段接することが無い世界に触れて新しい発見をしてくれる事を願っています。

ファミリーでの参加者

――昨年、11月に川俣町の旧飯坂小学校で開催された山あいのまちの収穫祭「かわまたハーベスト」でもDJをされていましたね?

根本:はい、実行委員会の音楽担当の方は、同じアンスリウムを栽培している仲間の方で、その方がお声がけ下さいました。その方はジャズのドラムをたたく方で、どんな曲が良いのか事前に相談したりしてとても良い経験でした。会場の来場者や雰囲気に合わせた選曲について、より一段と理解が深まったように思います。

そして、先日、地域おこし協力隊の成果報告会がありましたよね。そこにシャモファームの齋藤社長がいらしていて、僕がイベントでDJをしたことをお話した事を受け、5月のシャモ祭りのステージに出ないか、とお誘い下さったんですよ。シャモ祭りは川俣町のビッグイベントですから、そこに出演してお客さんを楽しませる機会をいただけたことはとても嬉しいですね。身も引き締まりますが(笑)。

 

取材を終えて

率直に言って、川俣町に新たな魅力資源が生まれる瞬間に立ち会えた、という気持ちを抱きました。

インタビューの質問でも話題に出しましたが、根本さんが地域おこし協力隊の隊員として、他の隊員と交流する「連携会」のご自身の報告で、「実は、社長から「いちご狩りと音楽を掛け合わせたイベントをやろう」と声掛けて貰えて、むちゃ嬉しかったんですよ」とお話された時は、「そうか、これが川俣の魅力の源泉なんだな」と気づいた瞬間でした。

それぞれが個性を持っていて、それの掛け算が「程よい距離感」の関係性で実現されるのです。観光農園smile farmの成功は、社長の谷口さんにリーダーシップの下、スタッフが社長のイメージを現実化するためにそれぞれの特技を活かして、努力する。根本さんの場合、農業者としてもそうですが、音楽の力も発揮して、新しいお客さんを連れて来ようとしています。

ここ川俣町では、11人の協力隊がそれぞれの道で成功して、次なるステップを踏み出そうとしています。根本さんもそのお一人です。そして、その協力隊以外にも個性ある特技や興味・関心を持った移住者が集まってきています。それらの個性が掛け算され、わずか1万人余りの小さな町がより一層魅力ある町に発展していく幕が開いたように思いました。

これからの川俣町の展開を、皆さんも楽しみにしていて下さい。

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