山木屋の秋、三匹獅子舞の日に

2025.10.24 更新 カテゴリ:BLOG

 

鳥居の下からはじまる

 

 

山木屋の八坂神社へ向かう道。
大きな鳥居の前に、人が集まりはじめていた。

太鼓や笛を持つ人、衣装を整える人、
そして、三匹の獅子。

太郎獅子、次郎獅子、雌獅子の中には、
まだ小学2〜4年生の子どもたちが入っている。

太鼓の音がひとつ鳴って、行列が動き出した。
神社へ向かう石段を、一歩ずつ。

子どもたちの動きは少しぎこちないけれど、
ちゃんと前を向いている。

かつて自分たちも獅子を舞った大人たちが、
後ろからそっと見守っていた。

表情は真剣だけれど、
どこかやさしい空気が流れていた。

 

 

受け継がれていく舞

 

 

境内に入ると、太鼓と笛の音が響きわたった。
木々の間を抜ける風と一緒に、音が山へと広がっていく。

獅子の動きに合わせて、
周りでは「筅(ささら)」をこする音が鳴り続けている。
竹をこすり合わせて音を出す楽器で、
山木屋の筅は一方が大きく作られている。

 

 

お花の心づけの代わりに、
参加者の人たちが手渡す千本がいくつもあり、
子どもたちや大人がそれを受け取り、
舞の前に心を込めて整えていた。

子どもたちは重たい獅子頭を支えながら、
一生懸命に舞う。
それを見つめる地域の人たちの視線に、
この土地の時間の深さを感じた。

 

 

午後、「とんやの郷」で再び

奉納を終えたあと、午後は「とんやの郷」でもお披露目があった。

 

 

朝から舞ってきた子どもたちが、
もう一度、獅子頭をかぶる。

「すごいなぁ、あの子たち」
誰かがつぶやいた。
奉納だけでも大変だろうに、
午後までがんばるなんて。

 

 

集まった人たちは、
ただ見ているだけでなく、
知っている顔に声をかけたり、
少し離れた場所から静かに見守ったりしていた。

太鼓の音が広場に響くたびに、

人の心がひとつになるようだった。

細かい雨粒が舞う「とんやの郷」にも、

その空気はじわりと広がっていった。

やがて舞が終わり、

子どもたちは獅子の面を外した。

髪は少し乱れ、頬は赤い。

疲れた顔で静かに息を整える子もいれば、

ほっとして小さく笑う子もいる。

それぞれの表情に、一日のがんばりが映っていた。

「おつかれさん」
誰かが声をかける。
太鼓がトン、と軽く鳴って、
秋の午後の空気が、少しだけやわらいだ。

 

 

文章・写真:鈴木亮平(川俣町在住・移住者フォトグラファー)

 

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