2024.11.14 更新 カテゴリ:BLOG
東京駅から新幹線とバスで2時間ちょっとの場所にある伊達郡川俣町。数多くの里山があり、自然豊かな川俣での暮らしは、子どもたちにとっても大人にとっても、心身の成長と癒しをもたらします。川俣町の温かいコミュニティは、これまでとは異なる新しい絆を育み、日々の生活に彩りを加えます。季節の変化を肌で感じながら過ごす日常は格別のものです。「ちょうどいい田舎暮らし」を送るには絶好のロケーションです。
今回は、2024年11月3〜4日に開催された2024年度第1回就農体験ツアーの様子をお伝えします。
前日の大雨で心配にはなりましたが、2日間好天に恵まれたツアー
当初は9月28〜29日に実施を予定していた第1回就農体験ツアー。募集宣伝活動があまりうまくいかず、残念ながら最少催行人数に届かず、順延となり、改めて11月3〜4日に第1回を延期して再募集をしました。今回は大変多くの方に関心を示してもらい、抽選の結果、5組6名の方に参加していただきました。前日の11月2日はかなりの大雨となり、開催できるか心配になりましたが、前日とは打って変わり、雲ひとつない快晴の中で開催することができました。無事に予定していた全てのスケジュールを進めることができたので、川俣町のさまざまなところを見てもらうことができました。
1日目(11月3日・日曜日)
参加者の方々は福島駅西口の待ち合わせ場所に続々と到着。川俣町に向かう車中で2日間の行程を説明し、現地集合組の1組2名の方々にも役場にて合流いただき、すぐにツアー行程をスタートしました。最初に訪れたのは、10月開催の移住体験ツアーでも訪れた峠の森自然公園。川俣町とその奥に見える吾妻連峰を一望しながら、これから訪れるさまざまな場所の位置などを、説明させていただきました。
その後は、、廃校となったもののイベント会場としても人気の風情ある旧飯坂小学校で開催された“山あいのまちの収穫祭 かわまたハーベスト”の見学と昼食です。この“かわまたハーベスト”は、川俣町の農家の皆さんが中心となって、地元の野菜などを知っていただく機会として昨年から開催されるようになったマルシェです。昨年も2,000人以上の方が訪れてくれましたが、今年は開始時間前から多くの人たちが集まり、かなりの賑わいを見せていました。参加者の皆さんは“かわまたハーベスト”を楽しむだけではなく、出店されているさまざまな農家さんや地域おこし協力隊、移住者、生まれも育ちも川俣町の町民の方々などともお話をされ、色々な情報を得られていた様子で、中には、相席した地元のおばあちゃんと10分以上も長話をした参加者もいました。地元の方々との交流の場としては最高の機会だったようです。
あっという間に楽しい時間が過ぎ、“かわまたハーベスト”を後にした次は、農作業場付きの空き家と移住•定住促進住宅の見学を行いました。
農作業場付きの空き家は、2件見ていただきました。現地で地元の不動産屋さんと合流し、内見の案内と支援金を利用したリフォームの費用見積もりの説明をしていただきました。というのも、内見していただいた2件のうち、1件は家の中のものが比較的整理されている物件で、もう1件はまだ家の中のものが残っている物件。それは家の中に物が残っている物件をあえて見てもらうことで、空き家の購入で考える必要のあるハードルなども実感してもらうことも重要と考えているからです。良いところばかり見てもらうのではなく、移住後に待っている現実もしっかり知ってもらうことこそが、体験ツアーの意味と考えています。
空き家見学の後は、移住•定住促進住宅の案内。こちらは公営住宅を間取り変更やフローリング、収納新設などのリノベーションを行った住戸で、非常に格安で、若い人たちが移住を考える際に気になる住居の確保を支援することを意図しています(入居者又はその配偶者〈同居人を含む〉のいずれかが40歳未満の方が対象。一部例外条件あり)。
空き家、移住促進住宅見学後は、宿泊先となるおじまふるさと交流館へ移動しました。チェックイン前には、交流館のすぐ近くにある地域おこし協力隊が地域の人にお借りして耕作をお手伝いしている田んぼと畑を見学してもらいました。
チェックイン後は、それぞれお泊まりになる部屋へ移動してもらい、少しゆっくり過ごしてもらいました。ひと休みした後は、夕食の準備も兼ねて、川俣シャモの丸焼き体験をしました。川俣町の特産品である川俣シャモを最高に美味しい状態で食べていただきたいと思い、火おこしから解体まで参加者の方々に体験してもらいました。川俣シャモを管理している川俣町農業振興公社の渡辺社長も駆けつけてくれて、川俣シャモの歴史などをお話していただきながら、最高に美味しい川俣シャモの焼き方になるよう、お手伝いまでしていただきました。
川俣シャモの丸焼き体験後にはいよいよ夕食の時間です。藤原川俣町長、川俣町役場・政策推進課の藤原係長、地域おこし協力隊の武舎さんや大井さん、先輩移住者のファンコーニご夫妻も参加し、小島地区の皆さんがおもてなしの気持ちで担当してくださった料理と川俣シャモの丸焼きを堪能してもらいました。美味しい料理と、移住・定住支援センターのメンバーが厳選した、福島の美味しい日本酒を堪能しながら、ツアー参加者と川俣町の人たちが親交を深めた時間となりました。
2日目(11月4日・月曜日)
2日目も天気に恵まれる中、ツアーがスタート。8時半に交流館を出発し、就農体験を行う山木屋地区のsmile farmさんへ移動しました。
まずは、smile farm の谷口豪樹社長からのご挨拶に始まり、ビニールハウス内の見学をし、座学が始まりました。谷口社長が川俣町で農業を始めることになるきっかけ、川俣町で農業を始める優位性、どうしても越えなくてはいけないハードル、そしてsmile farmとして働き方を含めた新しい農業への挑戦とその可能性などについて話していただきました。かなりリアルな内容も含まれており、農業を単なる憧れとしてだけではなく、就農することの意味なども参加者の皆さんには伝わったのか、質疑応答の場面でもたくさんの質問が出ていました。皆さんの本気度が上がっていく瞬間を実感しました。
流石に座学だけでは就農“体験”にはならないので、お話の後は、実際の農作業を体験してもらうことになります。まずは、さつまいもを畑から掘り出してもらいました。どうやってさつまいもを掘るのか全く分からない参加者の方もおり、その方にとってはとても新鮮な経験だったようです。掘ったさつまいもは、smile farm さんの敷地内にある窯で焼き芋にして食べてもらうことにしました。
芋掘り体験後は、本格的な就農体験に入りました。今回は、アンスリウムコース、いちごコース、土いじりコースの3つのコースを準備していただきました。アンスリウムコースは、川俣町の特産物、アンスリウムの出荷に向けた作業とアンスリウムを使ったフラワーアレンジメントの体験を用意。特にアレンジメントの体験で市場出荷できない際のフラワーロスの抑制を通じた、環境にもやさしい活動の理解も目的としました。いちごコースでは、観光農園としていちご狩りの実施に向けて、ランナー取りや芽かき、そして六次化産業としてのイチゴを利用した商品販売(イチゴみるく)の一環でキッチンカー内での作業などを用意。そして土いじりコースでは、実際に耕運機やトラクターを使用して畑を耕す体験と
さらにマルチ張りにも挑戦してもらい、露地栽培の一端の体験を準備していただきました。
今回の参加者の皆さんは、午前中はイチゴコースと土いじりコースに分かれ、午後の時間でアンスリウムコースを全員で体験することとなりました。どのコースもこれまで全く経験したことのないものばかりでしたので、皆さん口を揃えて、「とても貴重な経験ができた」と喜んでいただけました。
午前中の就農体験が終わった後は、窯で焼いた焼き芋のほか、自分たちで作ったピザ、さらには谷口社長のお義父様が作られたお蕎麦、smile farm さんで今年収穫した餅米で作ったお餅入りお汁粉、同じくsmile farm さん生産のジャガイモに通常の作り方に一手間加えた新作のフライドポテトなどを楽しみながら昼食をとりました。
昼食後は、再び座学から。午後の時間は川俣町役場の農林振興課 関川さんから、就農に関するさまざまな支援金・補助金の話をしていただきました。新規就農におけるお金の問題は本当に真剣に考える必要がありますし、ここのハードルを非常に高く感じる人も多いのが事実。決して簡単という表現は使っていないものの、町役場が最大限協力できる旨を関川さんからの話の中で随所に感じることができました。さらに先輩就農者でもある谷口さんからは、どれだけ関川さんをはじめとする農業振興課の方々によるお力添えがあったか、も共有されました。決して100%ではないかもしれませんが、就農することへの可能性、そして何よりも就農に対して必要となる覚悟のようなものを感じてもらえたのではと思っています。
座学終了後には、アンスリウムがあるビニールハウスへ移動し、アンスリウムの葉かきや収穫、出荷準備などを体験し、収納体験ツアーの全プログラムが終了しました。
最後は、今回のツアーについて、参加者の皆さんからの感想を伺いました。以下が皆さんからのご感想です。
「自然が豊かで生活環境が良いと思い、今回参加しました。大変とは思いますが、会社勤めをしながら空いた時間で農業も出来そうです。2回目以降では、兼業農家としてどんな仕事があるのかが知れればと思います。」
「実際に農業体験できることと大自然環境に触れられると思い参加しました。ツアーのプログラム内容が思っていた以上に充実していました。川俣町の人やコミュニティーは非常に優しいと思います。また農業スタートアップについて知ることができたのもとても良かったと思います。」
「福島県というロケーションできたいと思いました。就農体験や、移住した方との交流ができることと、現地ツアーがあったことが決め手です。マルシェ(かわまたハーベスト)がとても素敵でした。マルシェの運営などにも興味があります。 また、Smileファームさんの加工品に興味があり、パン作りなどもしてみたいです。移住者を温かく受け入れてくださるコミュニティが一番の魅力だと思いました。」
「ツアー参加の申し込みをする前から、オンラインでの対応までしてもらい、移住に力を入れている事が伝わって来ました。キャンプや渓流釣り、スノーボードなどが楽しめそうなまちという印象です。川俣町を誇り愛する方々が非常に多いと感じています。 また、他地域からの訪問者を心から大切にするおもてなし精神に心打たれました、 若い方々の町おこしへのエネルギーも強く感じました。」
今回のツアーを振り返ると
最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございました。今年度の「川俣町就農体験ツアー」は、今回が最初でしたが、本来はもっと早い時期に実施予定でした。しかしながら、募集告知が予定よりも遅れてしまい、周知の徹底ができず、せっかくお申し込みをいただいたのに、順延という形で期待を裏切ってしまったことは大いに反省すべきところです。応募していただく方々が早く予定を決めてスケジュールを空けたいということを考えれば、告知についてのスケジュール感はもっと重要視する必要があります。
SMOUTという移住スカウトサービスやポータルサイトかわまた暮らしやnoteの募集記事では、どんな人に参加して欲しいかを明記しました。これについては、関心を持ってくれた人や実際に応募された人の数がこれまでのどの募集よりも多くの方に反応していただいたので、今後の募集にも活かしていきたいと考えています。
そして、何よりも印象的だったのは、今回のツアーにご協力いただいた方々が、本当に川俣のことを好きで好きでたまらなくて、ツアーの参加してくださった人たちに、川俣を本当に堪能して欲しいという気持ちで、臨んでくださったことです。私たち川俣町移住・定住相談支援センターのメンバーもそんな川俣町を愛する人たちに本当に助けて持っらていると実感しました。本当にありがとうございます。
ともすると川俣町は「田舎の何もないまち」と考えがちですが、ツアー参加者の方々にとっては川俣町は魅力いっぱいの町と映ったようです。関係者の皆さんの川俣愛や参加者の方々への優しさが本当に伝わったこともあり、「また次も来ます!」と言っていただいたことが何よりの証拠かと思います。無理やり何かアピールするものを探すのではなく、ありのままを伝え、関心を持ってもらった人に探してもらうということこそが大切なのかもしれません。
次は11月30日〜12月1日に第2回就農体験ツアーを実施します。
川俣町では、「第2回川俣町就農体験ツアー」を来たる11月30日〜12月1日に実施します。おかげさまで、第1回がとても大きな反響があり、かつ第1回参加者から次回以降のツアーにも参加したいという要望も出ました。若干名になるかもしれませんが、空きが出たらご案内しますので、ご興味のある方は、その際はぜひご参加下さい。