2024.11.08 更新 カテゴリ:BLOG
皆さんこんにちは。
川俣への移住を検討される子育て世代の方も増えています。そこで今回は、川俣で子育てをしているお母さんたちに集まっていただき、座談会を開催しました。
集まった皆さんは、生まれも育ちもバラバラ。川俣で知り合い、仲良くなったママさんたちです。子育てしながら感じる、川俣のいいところはもちろん、ここはちょっとね…という部分まで忌憚なく意見を出し合っていただきました。
印象的だったのは、皆さんとっても元気なところ。たくさん喋ってたくさん笑って、川俣の活力は女性たちが担っているのかもしれないな、なんて感じました。子育てパパさんたちの事情もぶっちゃけトークしてくれましたよ。ぜひ参考にしてみてください!
インタビューに集まって下さった皆さん
涼子(りょうこ) さん
高二女子、中二男子、小五男子のママ。
埼玉県で生まれ育ち、結婚を機に川俣に移住。在住歴18年目
直美(なおみ)さん
小六女子、小四男子、年長男子のママ。
福島県伊達郡桑折町出身。結婚を機に川俣へ。
聡子(さとこ)さん
小五男子、年長男子のママ。
川俣町出身。小学生で福島市へ引っ越したが結婚を機に川俣へ。
睦(むつみ)さん
専門学生女子、高二女子、小二女子の双子、年中男子のママ
生まれも育ちも川俣町。
真依(まい)さん
中一男子、小三男子のママ
神奈川出身。年長のときに福島へ引っ越し、結婚を機に川俣へ
畑のじゃがいもが全滅⁈ そのとき子どもたちは…
――今日は集まっていただきありがとうございます。皆さんは「特定非営利法人コミュニティちゃばたけ」のメンバーなんですよね。
りょうこさん そうですね。「ちゃばたけ」のメンバーであり、利用者でもある関係です。3年前から福島県の委託事業で「ちゃばたけふぁーむ」というグループ活動を行っているのですが、その中心メンバーでもあります。
さとこさん ちゃばたけふぁーむでは、「食をとおした健康なまちづくり担い手育成事業」として食育に関する活動を行ってきました。子どもたちとさつまいもの苗を植えたり、減塩についてのPRをしたり、世代を問わない食に関するイベントを企画したり。
りょうこさん 今年植えたじゃがいもは全部イノシシにやられちゃったんですけどね(笑)。
――えー! お子さんたちショックだったんじゃないですか?
まいさん そうでもなかったんじゃないかな。
なおみさん 川俣の子は野生動物を見慣れてるので。イノシシやハクビシンなんかは、普通に道路でも見かけますしね。
むつみさん うちの子も「食べたかったんだね〜」くらいのリアクションでした(笑)。
――へえ〜、たくましい。ある意味自然との共生ですね。
さとこさん そうそう。逆に「おじゃまします」くらいの感じです。
子育てママの居場所「コミュニティちゃばたけ」とは
――「特定非営利法人コミュニティちゃばたけ」のお話をもう少し詳しく聞かせていただけますか?
さとこさん もともとは、他地域から嫁いできた母親を支援する親子の居場所として平成17年に設立された団体で、いまは高齢者支援も行っています。
りょうこさん 私がこのなかでは一番つきあいが長いのかな。設立当初から関わって、かれこれ20年近くなりますね。川俣に嫁いできて誰も知り合いがいないし、隣近所で話せるママもいなくて、どうしようもなくなって役場に駆け込んだんです。そのときに前理事長の菅野幸子さんに「ちゃばたけっていう居場所を開いたからいらっしゃい」って声をかけてもらって、遊びに行ったのが最初の出会いです。
むつみさん 私もそう。最初は誰も知り合いがいなかったからドキドキしたけど、同世代の子どもがいるママたちと話をしたりイベントに参加したりするうちに安心できる場所になりました。うちは子どもの数が多かったので「ちゃばたけ」で預かってもらうことも多くて、とても助かりましたね。ようやく最近子どもの手が離れつつあるので、なにか恩返しできればと、今年からスタッフとして関わらせてもらっています。
さとこさん みんな講習を受けて、保育士さんのサポートをできる資格(子育て支援員研修)を取るんですよ。
むつみさん 他人のお子さんを預かるときは自分の子どもより神経を使いますし、資格があった方がお互い安心ですからね。
りょうこさん 講習は時間もかかるし大変なんですけど、自分が助けてもらったので、そのぶん若いパパやママの役に立ちたいと思っています。
――ママたちにとって「ちゃばたけ」は大切な場所なんですね。
りょうこさん 今でこそ義父母にはなんでも言えますけど、嫁ぎたての頃はそうもいきませんでしたから、簡単に頼るわけにもいかなくて。
なおみさん 最初はどうしても「いい嫁」を装っちゃいますよね。夫は川俣の人間なので消防団の寄り合いなどで留守にすることも多くて、結婚したての頃はいつ帰ってくるかわからない夫に「あなただけが頼りなのに!」ってイライラしてましたね。
りょうこさん コロナ禍があってからはみんな早く帰ってくるようになったけどね。
「えっと…誰?」 川俣で苦労したこと、戸惑ったこと
――皆さんから見た川俣の第一印象は?
りょうこさん 私が苦労したのは言葉。最初はなに言ってるか全然わからなかった。
全 員 わかる!(笑)
りょうこさん うちは会社をやっているのでよく電話がかかってくるんですけど、最初の頃は怖くて出られなかったです。
なおみさん お年寄りは特にわからないですよね。電話をいったん切ってから着信履歴を見て「あの人か」って見当をつけて掛け直したり。同じ苗字の人が多いから地区名と下の名前しか名乗ってくれなくて「えっと…誰?」みたいな(笑)。
むつみさん 私は川俣出身だからさすがにわかるけど(笑)。
――慣れるまでは大変そうですね。
まいさん 私にとっての川俣は、ここらへんの田舎町のなかでは栄えてる場所、かな。子どもの頃は、いまカインズが建っているあたりにあった回転寿司によく食べにきていました。比較的お店は多いですよね。
りょうこさん 昔はコンビニもなかったんだよ(笑)。いまはだいぶ便利になりましたね。
さとこさん 病院の数があまりないのはちょっと不便かな。済生会川俣病院には内科、眼科や耳鼻科があり、町内には歯科もたくさんあるし、整形外科もあるけど、小児科はむとうこどもクリニックの一軒しか無く、結果こどもを診て貰うには、眼科とか耳鼻科、皮膚科などは福島市内に行く必要があります。
りょうこさん いいところも言っておかないと(笑)。地区によって違うかもしれないけど、うちの近所は子どもが泣いてもみんな迷惑がらずに「どんどん泣かせな」って言ってくれますね。
なおみさん 子どもが少ないからか、みんな親切にしてくれますよね。子連れで散歩してたら知らないおばちゃんが声かけてきて「これ持ってきな」ってチョコレートくれたり。それもひとつふたつじゃなくて大量に(笑)。野菜も「若いんだからたくさん食べな」って、でっかい白菜を三つ四つ持ってきてくれます。
さとこさん 最初は戸惑いましたけどね。「お返しできないし、どうしたらいいの?」って。でもしばらくすると「これはありがたくもらっておけばいいんだ」ってわかるようになる。
なおみさん そうそう。とりあえずもらっておいて、貰ったものも後で他のお宅にお裾分けすればいい。
さとこさん その辺の距離感がつかめればね。しばらく住んでいると、町全体の人たちとなんとなく知り合いになってきて、みんな子どもたちのことも気にしてくれるようになるし、居心地がよくなってきましたね。
りょうこさん 川俣って、私たちが子どもの頃の雰囲気が残ってるなって思うんです。私が子どもの頃は近所の人たちから怒られて育ったし、みんな連絡網があるかのごとく子どもがなにをしてるか知ってたし。うちの子も中学校に上がって自転車で通うようになったら、通りすがりの人たちから報告が入るの。「自転車乗ってたね!」「あそこで休んでたよ」とか(笑)。
むつみさん 私が双子を小学校へ送っていく時必ずすれ違いますよ(笑)。
――GPSいらずだ。
りょうこさん そうですね(笑)。子どもには「みんな見てるんだから、真面目に自転車乗るんだよ!」って言ってます。町のみんなに聞けばどこにいるかすぐわかるから、安心ですね。
さとこさん ただそれが窮屈って思っちゃう人だと、ちょっと暮らしにくいかもしれないですね。
りょうこさん 基本的に来る人に対してはウェルカムな状態なので、子育てサークルや習いごとなどコミュニティに馴染むのはそれほど難しくないとは思うのですが、自治会、町内会、消防団など地域のお付き合いに参加する努力は必要かもしれません。行事に積極的に参加して顔見知りを増やすとか。あと、パパたちは仕事で留守にすることも多いので、別の大変さがあるかもしれませんね。
むつみさん うちの夫は仕事の休みが少ないので地区の活動にはほとんど顔を出せなくて。「旦那さん、いる?」って心配されちゃうくらい(笑)。そのぶん私が参加してます。
まいさん うちの夫は勤め先が町内なので知っている人も多いし、地区の草むしりや花植えには積極的に参加してました。
ぶっちゃけ、川俣の子育て事情ってでどうですか?
――川俣町は子育て支援制度が充実していると聞きました。
りょうこさん 医療費が18歳まで無料なのは助かりますね。
むつみさん 他の地域はだいたい中学生までかな?
なおみさん たまに自分が医者にかかるときに「こんなにかかるんだ」ってびっくりします。ずいぶん支援してもらってるんだなって、ありがたく思いますね。
さとこさん かわまた認定こども園や小学校の給食費無償化も助かっています。もし無償化でなければ給食費も子どもの人数が多いと馬鹿にならないですからね。
りょうこさん ただ、高校生以上となると支援もなくなるし、高校もひとつしかないから半分以上の子が町外に出ちゃうんですよね。そこはちょっと考えどころかも。
むつみさん 高校で町外に出てしまうと、川俣には就職先も少ないし、地元に残る子どもはどうしても減ってしまいますね。
さとこさん 私は、自分の子どもにはどこでも行きたいところに行ってほしいので、たまに帰省してくれれば町に残ってくれなくてもいいかなって思ってます。
――なるほど。ほかに川俣で子育てにプラスだと感じることはありますか?
さとこさん 自然がたくさんあることかな。うちの男の子ふたりは虫が大好きなので、しょっちゅう虫捕りに行ってます。
まいさん 町で運営している「たのしい教室」は、放課後も学校や公民館で遊ばせてもらえるので助かっています。それから登山。川俣は山に囲まれているのですが、中学生までに授業で全部の山に登るんです。「森の案内人」という方々がボランティアで同行して山のことを教えてくれて。
さとこさん あと、川俣って意外とスポーツ少年団が充実してるんですよ。サッカー、ハンドボール、バドミントン、バスケットボール…変わったところで言うとフェンシングとか太鼓とか。
――休みの日は家族でお出かけすることも多いんですか?
さとこさん 遊べる施設はあまりないんです。でもそのぶん、ちょっと遠出のお出かけが特別なイベントになるんですよね。「週末天気がよかったら福島市のあずま運動公園に出かけよう」みたいに。あとは、まちなかではしょっちゅうイベントが開かれていますし、何もなければ無いで七輪でお芋を焼いたり。
むつみさん 福島県内を探せばなにかしらイベントをやってるので、検索して出かけてますね。
まいさん 車で1時間走れば浜通りの方にも遊びに行けるしね。
りょうこさん 仙台も行けるよね。
――そうか。どっちの方面にも比較的出かけやすい場所なんですね。
りょうこさん 車は必須ですけどね(笑)。うちは子どもが大きくなってきたので家族で出かけることも減っていて、子どもたちは家や地元で遊んで親は車で温泉施設、みたいな過ごし方をしています。
元気な女性が町を盛り上げる! 川俣の未来は明るいぞ
――最後にあらためて、川俣の魅力についてお聞かせください。
さとこさん 私はキジに会えるのが嬉しいかな。「桃太郎」でしか知らなかったキジを家のすぐそばで見られるってすごくないですか? 田んぼの四季の移り変わりを見るのも好き。
りょうこさん 田んぼのお米がどうやって育って、どうやって食べられるようになるか、川俣で知らない子はいないんじゃないかな。
むつみさん 昔は小学校で田植えやったよね。今はやらなくなっちゃった。
まいさん かかしづくりもなくなっちゃったみたい。
さとこさん 「ちゃばたけ」でやろうか?
むつみさん いいかも。あと魅力は…なんだろう(笑)
りょうこさん おばちゃんが元気、かな。
全 員 確かに(笑)。
りょうこさん 通りで会ったら絶対声かけてくるし。
むつみさん 子連れでスーパーのレジに並んでたら「これ食べな」って無理やりお菓子くれる。
さとこさん 私、いまその立場になってるかも(笑)。若いお母さん見たらお菓子あげちゃう。
りょうこさん そういう伝統というか文化みたいなのは受け継がれてるのかな。ちゃばたけもそうですけど、川俣では町の中心になる40〜50代の人たちが増えてきていて、ちょっと活気が出始めていると思うんです。これまで踏み出せなかったところを、「よしやってやるか!」みたいな空気がある。私たちもお手伝いしながら、この空気を盛り上げていきたいと思っています。
――ありがとうございました!
取材:かわまた暮らし編集局員(東京支部スタッフ)
城田 晃久(しろた てるひさ)
群馬県高崎市出身、東京都練馬区在住。フリーター、広告代理店勤務を経てフリーランスのライター、ディレクターとして活動。依頼が多い分野はIT系と医療系。書きたい分野はスポーツ系と旅行系。趣味はサッカー観戦でW杯は現地観戦派。Jリーグザスパクサツ群馬のサポーター。お笑い芸人、俳優としても活動中。