川俣シャモの生産農家さんに聞いてみた!「皆さんの喜ぶ顔を見ると、“シャモの力”を感じます」。

2023.12.24 更新 カテゴリ:BLOG

皆さま、川俣シャモまつりの感動を綴ったこちらのレポートは読んでいただけたでしょうか…?

 

恥ずかしながら、だいぶはしゃいだレポートになっております。ああ、思い出すとまたあのシャモの丸焼きを食べたくなる…。

 

あの美味しいシャモを育ててくれたのは、いったいどんな人なんだろう?
ぜひお会いしたい!会ってお礼が言いたい!

 

…ということで今回は、川俣シャモの生産農家の方にインタビューをさせていただきました!

川俣シャモの生産農家さんに聞いてみた

お話を聞いたのは、佐藤卓也さん。先代であるお父様は、川俣シャモの規格化以前からシャモ飼育に関わってこられた川俣シャモのパイオニアです。

佐藤さんは、そのお父様が亡くなったあとにシャモ生産を引き継ぎ、今年で5年目。川俣のシャモ生産農家のなかでは最も若手にあたります。

 

 

――  シャモ祭りでいただいたシャモ、とっても美味しかったです!

 

佐藤さん  ありがとうございます。私たちシャモ農家もシャモの焼き手としてシャモ祭りに参加していたんですよ。

 

――  え、そうなんですか!生産だけじゃなくて調理まで…ますます感動です!

 

佐藤さん  いやいや、普段消費者の方と接することがないので、ああいう場所で直接皆さんが美味しそうに食べてくれるのを見たり、「美味しかった」という言葉を聞けたりするのは、私たちにとってもやりがいを感じられるいい機会なんです。

 

――  確かに、生産者の顔が見える機会があるのは、私たち消費者にとっても生産されている方々にとっても嬉しいことですよね。都会ではなかなかそこまでできないかも。

 

佐藤さん  シャモの丸焼きを見て感動している人や写真を撮っている人を見ると、「やっぱり川俣シャモはすごいんだ」という自信につながるというか、“シャモの力”を感じますね。シャモの飼育は淡々と行われるので、普段はそれほど感動するようなこともないですから。

 

――  え、そうなんですか?

 

佐藤さん  出荷のときは別ですが、朝飯前に30分から1時間、餌やりと掃除くらいで1日の作業が終わってしまうので。

 

――  えー!そうなんですね。てっきり重労働なのかと…。

 

佐藤さん  よくそう言われるんですけど、そうでもないです(笑)。そういう意味では農業の方が大変かな。うちではシャモと合わせて水稲、養蚕、小菊の生産もやっていて、そっちは天気などの自然条件に左右されやすいので。川俣のシャモ農家は兼業しているところも結構多いですよ。

 

――  へえ。知らなかった。佐藤さんのお父様は川俣シャモの黎明期から関わっていたんですよね?

 

佐藤さん  はい。当初は試作を繰り返すなどかなり苦労したみたいですね(こちらの記事参照)。先人のおかげで川俣シャモをブランド化できて、生産も販売も順調です。これからも質の高いシャモを生産して、ブランドを守っていきたいと思っています。

 

厳格なマニュアルに沿って飼育

――  川俣にシャモ農家さんは何軒くらいあるんですか?

 

佐藤さん  13軒、14農場あります。

 

――  佐藤さんの農場はそのなかでいうとどれくらいの規模なんですか?

 

佐藤さん  実は、川俣シャモの農場はすべて同じ規模なんです。

 

――  えー!そうなんですか!

 

佐藤さん  シャモの飼育数もひとつの農場につきだいたい1,440羽という取り決めがあるんです。密飼(みつがい)にならずにきちんとした品質のシャモを育てるための工夫ですね。飼育についても厳格なマニュアルがあって、飼育期間や餌の配合、鶏舎の大きさなどについても定められています。

 

――  あ、それは以前記事を書いたときに学びました。そうやってきちんとしたマニュアルに基づいて、信頼できる農家の方が育てているからこそ、高品質なシャモが安定供給されるんですね(こちらの記事参照)。

農家を継ぐことには全く抵抗感はありませんでした

――  佐藤さんは5年前まで会社員として働いていたんですよね?どうしてシャモ農家に転身されたんですか?

 

佐藤さん  5年前に父が他界して、どうしようかとなったときに「うちには父が遺した土地も機械も建物もある。じゃあ、やるしかないだろう」ということで。

 

――  自分の代で途絶えさせるわけにはいかない!みたいな?

 

佐藤さん  いやいや、そんなに高い使命感があったわけじゃないんですよ(笑)。母も元気ですし、私も小さい頃から農業に親しんできたので、抵抗感は全くありませんでした。

 

――  なるほど〜。川俣のシャモ農家さんは、そうやって代々受け継がれていくわけですね。

 

佐藤さん  いや、うちの場合はたまたま私がいましたが、後継者不足は川俣シャモの生産農家にとって大きな課題です。13軒のうち私が最年少で、ほかは60〜70代の方が多いので。皆さんお元気ですが、そろそろ後継者を見つけたいというのが本音だと思います。ですから、新規で始めたい方は大歓迎です。

 

コツコツといいものをつくり続けることが目標

――  ところで佐藤さんは、川俣の魅力ってどんなところだと思いますか?

 

佐藤さん  そうですね…。観光名所や特別なものがあるわけじゃないですけど、だからこそ落ち着いて暮らせるところかな。自然に近いわりに買い物にも困らないし…。あ、星空はめちゃくちゃキレイですね。風呂上がりに外に出てふと空を見ると、満天の星。小さい頃から見慣れているはずなのに、ほーっと見惚れてしまうときがあるんですよ。あれは川俣に住んでいる人の特権だと思います。

 

――   確かにいいですね…。暮らしのすぐそばに自然があって、1日の終わりに見上げる星…憧れちゃうな。最後にこれからの目標を聞かせてもらえますか?

 

佐藤さん  インタビューしていただくとだいたいそういうことを聞かれるんですけど、いつも困っちゃうんですよね…。そんな大きな志を持って農業をやってるわけではないので…。でも周りから頼られる存在にはなりたいです。お金を儲けたいとかいう気持ちは全然ないんですが、シャモでも小菊でも、コツコツといいものをつくり続けていれば、自然と周りの人たちからも認めてもらえると思うし…あ、それですね。コツコツといいものをつくり続けること。それが目標です。

 

――  それが一番大事ですよね。応援しています!ありがとうございました!

 

訥々と、飾らない言葉でインタビューに答えてくれた佐藤さん。小菊の収穫で忙しい最中に押しかけてしまったにも関わらず、「思ったより早めに終わったから、ぜんぜん構いませんよ」と気遣ってくださり、ありがとうございました。

 

佐藤さんの言葉の端端からは、毎日の仕事を丹念に、そして真摯に農業に向き合う姿勢がひしひしと伝わってきました。その姿勢の延長線上に質の高い生産物があり、消費者はそれを楽しみに待っている。それってとても幸せな関係だな、と思いました。

 

基本はポーカーフェイスの佐藤さん、シャモ祭りで皆さんの喜ぶ姿を見るのが一番嬉しい、と語ってくれたときの笑顔がとても印象的でした。あのシャモの丸焼きには、生産農家の皆さんの「みんなに美味しく食べてほしい」という想いがこもっているんですね。それは美味しいわけだ!

 

さて今回のインタビューでちょっと意外だったのは、専業のシャモ農家は少ないというお話。シャモに限らず、川俣の農家の皆さんはいろいろな作物を育てることが多いんですって。川俣の農業…お花やアンスリウムの栽培が盛んという話はちょっと聞いたことがあるんですが、実際のところどうなんでしょう。ちょっと興味が湧いてきたぞ…

 

というわけで、次回は川俣農業の未来を担う若き農業家の方々に、川俣の農業についてお話をお聞きしたいと思います。どうぞお楽しみに!

 

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取材:かわまた暮らし編集局員(東京支部スタッフ)
城田 晃久(しろた てるひさ)

群馬県高崎市出身、東京都練馬区在住。フリーター、広告代理店勤務を経てフリーランスのライター、ディレクターとして活動。依頼が多い分野はIT系と医療系。書きたい分野はスポーツ系と旅行系。趣味はサッカー観戦でW杯は現地観戦派。Jリーグザスパクサツ群馬のサポーター。お笑い芸人、俳優としても活動中。

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